むくみをおさえるには?

2)リンパ管系の活発化

<図1>
<図1>
 リンパ管の働きは図1のようなバスタブで非常に適切に説明できます。蛇口は動脈、排水管は静脈、そしてリンパ管は側孔にあたります。
皮下組織での、毛細血管の動脈側から出てきた水分が静脈側に入る働きを分かり易く例えると、動脈という蛇口から出てきた水分が血管外皮下組織という洗面台に溜まり、静脈とリンパ管という排水管から排出される仕組みです(図2)。ここで排水がうまくいかずに、血管外皮下組織に体液が溜まってしまったのがむくみです。
<図2>
<図2>
 このように、バスタブ内の水分を減らすのは静脈とリンパ管です。しかし、静脈には代償幅はあまりありません。
 つまり、ほぼ一定の水分を排除はしますが、水分が多いからといって排除する量はそれほど増やす事はできません。一方、リンパ管は通常はあまり働きませんが、皮下組織に水分量が増えてきたらてき面に働き始めます。その代償幅は静脈よりはるかに大きいと思って頂いても良いでしょう。従って、リンパ管の代償機能が無限であればむくみは生じないことになります。
<図3>
<図3>
 また、「皮下組織にある不要な物質を排除する」ことも、リンパ管の仕事のひとつです。(図3)
 お風呂のお湯が多ければ減らすのは勿論ですが、湯垢が浮いていたら、それも排除します。その一つが細菌ですが、その働きは「リンパ管の免疫機能」としてよく知られています。また、湯垢が脂肪であれば、放っておくとお湯に脂肪が浮いてしまい、これはつまり肥満となるのですが、それもリンパ管が排除します。  このような意味では、リンパ管は皮下組織の掃除屋さんです。
<図4>
<図4>
 お分かりのように、リンパ管の機能が低下すると、むくんだり、脂肪がついて太ったりすることになるのです。とすると、むくみや脂肪を減らすには、いつもは働きの十分でないリンパ管を有効に活用したいわけです。
 ではどのようにするとリンパ管は活発に動くでしょうか。

 リンパ管の働きを活発にするには、静脈とほぼ同様に考えると良いでしょう。
すなわち、脚を上げたり、歩いて筋肉を動かす事によってリンパ管は刺激されて動きます。また、脚の付け根には鼠径リンパ節がありますが、リンパ節は「リンパ心臓」とも言われ、リンパ液を流すポンプの役割があるとされています。従って、快活に脚を上げてイッチ、ニッ、イッチ、ニッ、と歩くのは、リンパ流を活発にする良い方法です。
 それ以外に意識的にリンパ管を動かす特殊な方法として、リンパ・マッサージがあります。これは「リンパ・ドレナージュ」とも呼ばれ、最近よく耳にします。
 リンパ管は皮膚表面にネットのように張り巡らされています。それが、順次、脇の下、鼠径部や首のリンパ節に集まり、静脈を経て心臓に戻ります。特に脚からのリンパ液は背骨に沿って走る太いリンパ管-胸管に集まり、鎖骨と首の交わるあたりから静脈に入り、心臓へ戻ります。
 リンパマッサージの方法を理解するために、高速道路を思い浮かべてみて下さい。車の流れが悪いときに交通整理をするとしたらどうするか。まず、渋滞している先頭車を動かし、順次後続の車を誘導します。
 リンパマッサージではこれと同様の考え方をします。すなわち、まず首と鎖骨の間の窪みをマッサージし、ついで胸部→腹部→鼠径部→脚の順にリンパの流れを活発化するように、心臓に向けてマッサージします。
ですが、ただ一般的に脚がむくんでいる場合には、このような事を念頭においた上で、脚全体のマッサージをすれば十分だと思います。
<図5>
<図5>
 リンパ管は皮膚表面に存在しますので、リンパマッサージは皮膚表面を軽くなでるように、擦るようにします。下着の跡がつくのはリンパ流が下着によって遮られていることを示します。それほどにリンパ流は軽い圧で影響されます。決して一般的なマッサージのように、強く圧を加えて奥の筋肉などを揉んだりする方法とは違います。リンパ管は皮膚のすぐ下にあると考えてマッサージして頂ければ頂ければ良いでしょう。(図5)
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